ECWCS GEN3 LEVEL7 徹底比較 B.A.F. vs Tennier Industries

ECWCS GEN3 LEVEL7 GUIDE B.A.F. vs Tennier Industries

ECWCS GEN3 LEVEL7 GUIDE
B.A.F. と Tennier Industries の違いを徹底解説

極寒対応アウターとして高い人気を誇る ECWCS LEVEL7。
当店では B.A.F. と Tennier Industries の 2ブランドを取り扱っており、 「どちらを選ぶべきか?」というお問い合わせを多くいただきます。
そこで本ページでは、両者の違いをできるだけ分かりやすく比較し、 選ぶ際のポイントをまとめました。

ECWCS GEN3 LEVEL7 とは

ECWCS(Extended Cold Weather Clothing System)は、米軍が寒冷地での任務のために運用するレイヤリングシステムです。 GEN3 はその第三世代で、吸湿速乾性に優れたベースレイヤーから高機能なミッドレイヤー、防風性の高いシェルまで七つのレベルで構成されています。

LEVEL7 は最上位にあたる防寒レイヤーで、中綿入りアウターとして極寒環境を想定して設計されています。 シビアな状況下で体温を守るための構造になっており、街で着ると少しオーバースペックなくらいですが、 軽さ、保温性、耐候性に優れているため、街着としても人気の高い定番アウターとなっています。

ECWCS GEN3 LEVEL7 イメージ

B.A.F. と Tennier Industries について

B.A.F.(Brooklyn Armed Forces)

ニューヨークを拠点とするミリタリーウェアメーカー。 実物の意匠や構造を参考にしつつ、日常で扱いやすい民生仕様のウェアを展開しています。 伝統的なミリタリーの雰囲気を残しながら、軽さと動きやすさも考慮した「街着としての LEVEL7」に仕上がっています。

Tennier Industries

軍装備品ファクトリーの集積地テネシー州で創業。米軍への納入実績を持つ実物メーカーとして数々の軍用装備の生産に関わってきた背景から、ミルスペックに基づく本格的な作りが特徴です。 NSN(National Stock Number)が入る品質ラベルは、軍の補給体系に登録された規格であることを示します。

ミルスペックと民生品の違い

同じ LEVEL7 でも、「軍が採用する実物系」と「実物をベースにした民生ライン」では立ち位置が異なります。 まずは、襟裏ラベルに入る NSN の有無を基準に、二つの違いを整理してみます。

B.A.F.
実物をベースにしたタウンユース向けレプリカ
B.A.F. 品質表示タグ

B.A.F. は実物の構造や意匠を踏襲しながら、街で着やすい民生仕様として展開されるシリーズです。 NSN は入りませんが、ECWCS LEVEL7 の雰囲気や機能性を日常使いしやすいバランスで楽しめる立ち位置になります。

Tennier Industries
NSN表記入りのミルスペックライン
Tennier ミルスペックタグ

Tennier は米軍正式採用品の生産実績を持つ実物メーカーです。 このように NSN(National Stock Number)と契約番号が入った品質ラベルは、 軍の補給システムに登録された実物規格であることを示す明確な証拠と言えます。

大まかには、Tennier は実物規格、B.A.F. は民生仕様。 この違いを押さえておくと、後の素材や作りの違いが理解しやすくなります。

生産国で見る違い

B.A.F.:CHINA / Tennier:USA

ECWCS GEN3 LEVEL7 の本流であるミルスペック品は、基本的にアメリカ国内生産が求められるケースが多く、 Tennier は USA メイドの背景を持っています。

一方、B.A.F. は中国製ですが、縫製やパターンの作りはしっかりしており、品質と価格のバランスに優れています。 まずは LEVEL7 を試してみたい、街で気軽に使いたいというニーズには B.A.F. が非常にマッチします。

USA メイドの本格志向か、性能と価格のバランスを取るか。 生産国は、LEVEL7 を選ぶうえで一つの目安になるポイントです。

素材で見る B.A.F. と Tennier の違い

LEVEL7 の特徴を大きく左右するのが、中綿とシェルの特性です。 ここではそれぞれを比較してみます。

INSULATION PRIMALOFT と Climashield APEX の違い
B.A.F.|PRIMALOFT
ダウンの柔らかさを追求した人工羽毛としてアウトドアからタウンユースまで幅広く採用される
  • PRIMALOFTの超微細マイクロファイバー中綿を採用し、ふんわりと柔らかい着心地が特徴です。
  • 街で動きやすいバランスのロフト感で、日常使いにちょうど良い厚みです。
  • 柔らかな構造のため、洗濯や圧縮を繰り返すとロフトが減少しやすい傾向があります。
  • 水濡れに強く、家庭でのイージーメンテナンスにも対応しやすい素材です。
Tennier|Climashield APEX
極地での使用を想定して作られた高いロフト性能と耐久性を持つシート状断熱材
  • 連続フィラメント構造の Climashield APEX を使用し、ロフトの持続力と高い復元力が特徴です。
  • 中綿量も多く、極寒環境下でのロフト維持を優先した本格スペックです。
  • 洗濯や圧縮を繰り返しても繊維が崩れにくく、高い耐久性を持っています。
  • つぶれにくく、見た目にもフカフカな厚みが確認できます。
LOFT 中綿ボリュームの違い(写真比較)

写真は、アーム部分を中に入れ二つ折りにしたジャケットを、それぞれ横から撮影したものです。大きな違いはありませんが、B.A.F.はスッキリしているのに対し、Tennierは厚みが出ている事が分かります。

B.A.F. 中綿

B.A.F. ECWCS LEVEL7 中綿ボリューム

日常使いにちょうど良い、適度なボリューム感です。

Tennier 中綿

Tennier ECWCS LEVEL7 中綿ボリューム

厚みが分かるロフト量。極寒向けの軍仕様が見た目に表れています。

SHELL 表地の生地特性の違い

現行モデルはいずれも軍事用ファブリックメーカー、ブルックウッド社製の高機能ナイロンを採用していますが、同じナイロンシェルでも違いがあります。

B.A.F.|高密度ナイロン
軍事用ファブリックメーカーBROOKWOOD社製ナイロン素材
  • しっかりとしていてザラっとしたマットな手触り。
  • 水はしっかりと弾く。マットな生地感から微細な水玉が残る場合もあり。
  • 動くとサクサクとした生地音が出やすいです。
Tennier|EPIC ナイロン
GORE-TEXに替わりECWCSに採用される最新軍用素材
  • きめが細かく、しっとりとスムーズなタッチ。
  • 繊維一本一本がシリコン被膜され、撥水性と透湿性を高次元で兼備。
  • 衣擦れ音が小さく、静かな生地です。軍装備に重要な静音性が生地特性に表れています。
TEXTURE 表地の質感(写真比較)

B.A.F.

B.A.F. ECWCS LEVEL7 表地アップ

しっかりとしてマットな生地感です。

Tennier Industries

Tennier ECWCS LEVEL7 表地アップ

きめ細かくスムーズな手触りです。

WATER REPELLENCY 撥水性の違い(写真比較)

B.A.F. 撥水性

B.A.F. ECWCS LEVEL7 撥水性比較

しっかり水を弾きますが、マットな生地感によるひっかかりが見られます。生地を立てていれば引っかからずサラサラと転がります。

Tennier 撥水性

Tennier ECWCS LEVEL7 撥水性比較

水がサラサラと流れ落ちるような印象で、表面に水分が残りにくく、水切れの良い撥水特性です。

いずれも撥水性、保温性、を高い基準で満たしていますが、Tennierは耐久性や静音性といった戦場で必要な要素を持ち合わせています。

作りの違いで見る B.A.F. と Tennier

デザインやサイズ感、基本のパーツ構成はどちらも ECWCS GEN3 LEVEL7 に忠実で、大きくは変わりません。 そのうえで、どこを重視して仕上げているかに違いがあります。

B.A.F.:仕上げのきれいさとタウンユースでの利便性

B.A.F. は民生向けに販売される前提のため、外観やパッケージの仕上がりが整っています。 ネーム入りの袋に入っており、縫製の糸処理も丁寧で、糸端の始末まできれいに揃っています。

また、内側には縦型のジップポケットが付き、スマートフォンや財布等の小物を収納しやすい作り。 街で日常的に着るアウターとしての満足度を高める作りになっています。

Tennier:戦場で求められる性能と実用性を最優先

Tennier は実物メーカーとして、装備としての性能と実用性を最優先にしています。 ロゴ入りのパッケージはなく、納品時は無地のポリ袋に手書きでサイズ等書かれています。

縫製自体はしっかりしていますが、糸端が少し出ている個体もあり、見た目よりも機能面を重視した仕上げと言えます。 内側にポケットを設けず、軽量性と保温効率を優先したシンプルな構造も、その思想をよく表しています。

DETAIL 胸ポケットの有無を写真でチェック

B.A.F.:胸ポケットあり

B.A.F. ECWCS LEVEL7 胸ポケットのディテール

B.A.F. は左胸内側にフラップ付きのポケットが付き、街着として小物を入れやすい作りになっています。

Tennier:胸ポケットなし

Tennier ECWCS LEVEL7 胸ポケットなしのフロント

Tennier は胸ポケットをあえて設けないシンプルなフロント。 余計なパーツを省くことで軽量性と運動性を確保ています。

B.A.F. は仕上げのきれいさとタウンユースでの使いやすさを重視した作り、 Tennier は見た目よりも性能と実用性を優先した本格ギア寄りの作り。 同じ LEVEL7 でも、作り込みの優先順位に明確な違いがあります。

着用イメージで見る B.A.F. と Tennier

実際の着用イメージです。基本的な作りはほぼ同じなので、サイズ感も同じです。上記で述べた様な生地感、ロフト感、ディティールにより表情や雰囲気が微妙に変わってきます。

B.A.F.

B.A.F. LEVEL7 コーディネイト

183cm / 85kg / XLサイズ

Tennier Industries

Tennier LEVEL7 コーディネイト

178cm / 60kg / Mサイズ

一覧で違いをチェック

スマートフォンでは横にスライドしてご覧いただけます。
項目 B.A.F. Tennier Industries
立ち位置 実物をベースにしたレプリカ系の民生モデル。 米軍納入実績を持つ実物メーカーのミルスペックライン。
生産国 中国製。作りはしっかりしており、価格とのバランスが良い。 アメリカ製。ミルスペック本流の背景を持つ。
中綿 PRIMALOFT 中綿。軽く柔らかく、日常使いにちょうど良い厚み。 Climashield APEX。ロフト量が多く、極寒向けの本格スペック。
生地特性 やや粗めのナイロンタッチ。撥水性も高いがTennierよりは水切れ性能が劣る。 きめ細かく静音性が高い。水切れの良い撥水性。
作りの方向性 ネーム入り袋、丁寧な糸処理、内ポケット付きなど、街着としての仕上がりと利便性を重視。カラーバリエーションの豊富さも魅力です。 簡素なパッケージ、糸端が残ることもあるが、性能と実用性を最優先した無骨な作りはまさにミルスペック。
用途イメージ 手軽にLEVEL7を楽しみたい方。タウンユース全般から軽めのアウトドアまで幅広く対応。 軍実用品へのこだわりがある方。冬キャンプや雪の中の屋外作業など、本格的な寒冷環境での使用に向く。
価格 このスペックが税込み39,600円で手に入るのは大きな魅力です。 価格は66,000円とB.A.F.より高いものの、それだけの説得力がある機能を備えています。

どっちが自分向きか簡単チェック

どちらもタウンユースには十分すぎる程、非常に高いスペックを備えていますが、使用シーンや好み、予算によって選び方は変わってきます。 以下のチェックポイントも、選ぶ際の参考にしてみてください。

  • まずは買いやすい価格で LEVEL7 を試したい → B.A.F.
  • 街での使い易さと防寒性のバランスが欲しい → B.A.F.
  • どうせなら米軍規格を選びたい → Tennier
  • 最新技術を用いたハイスペックギアに憧れる → Tennier
B.A.F. ラインナップ

まずは手軽に LEVEL7 を楽しみたい方におすすめです。カラーのバリエーションに加え、軍用では存在しないLEVEL7ベストも展開しているのでチェックしてみてください。

Tennier Industries ラインナップ

本格ギアとして頼れるアメリカ製の軍規格がお好みの方はこちら。ミルスペックのゴアパーカーも取り扱っております。